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私の日記

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懐かしの風景

2010年の秋、退院した時、母は、一時的にではあるが、精神的にかなり錯乱した状態だった。区画整理で新築して8年間住んだのに、今いる家が我が家であることが、どうしても納得できなかった。
家に帰りたいと言い続けた、あの時期、歩ける状態だったら、徘徊老人になっていたかもしれない。
気持ちが落ち着いてきたら、自分の家であることは、認めたが、それでも、「ここは懐かしの我が家ではないなぁ」と言った。
私が「ばあちゃんの懐かしの我が家は、昔の古い家のこと」と聞いたら、うなづいた。
母が、若い時代から住んで、仕事をし、子育てをし、そして子供が巣立ち、父を見送った、人生の諸々が詰まったあの家。だだっ広いだけで、不便な家だったのに、母にとっては、「懐かしの我が家」だったのだ。
区画整理で街の風景が一変して、新しい家が建ち並び、それはそれで、いいのだけれど、時々、子供の頃の風景を頭の中に思い浮かべているときがある。
家事をしながら、昔の景色をあれこれ思い出していて、これはいけない、と思った。
私が、ボケて頭が子供に戻り、懐かしの風景を求めて、徘徊するようになったりしたら、困るよなぁ、などと、不吉なことを考えてしまった。

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by sekizono | 2014-01-15 19:48

些細なこと、大事なこと


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